タイルのためのギャラリー

(*Masaki Kato との共作)


日本トップクラスのタイルメーカーが結集する岐阜県多治見から国内外へタイル製作を手掛ける株式会社エクシィズの倉庫の一部をギャラリーに転用する計画。

扱うのはオリジナルデザインから既製品のカスタム、複雑な形状や微妙な色調整まで幅広いリクエストに対応する「TAJIMI CUSTOM TILES(以下、TCT)」シリーズ。

『こだわりの仕立服をつくる「ビスポーク」の感覚にならい、きめ細やかな対話を通じて、建築家やインテリアデザイナーが求めるタイルを忠実に実現する』というコンセプトのタイルである。

https://tajimicustomtiles.jp/ja/

ビスポークとは個々の購入者の注文なり、嗜好、使用目的などに合わせて、既存のものを改変したり、新調することを意味する[wiki]ため、倉庫をギャラリーに改変する様もまたビスポークであると言える。

では、TCTの求める嗜好、使用目的とは何だろうか?

 

展示されるものは

①タイルキオスク

タイルを購入できるウェブショップの実店舗。

②コラボレーションタイル

RONAN BOUROULLEC、MAX LAMB、KWANGHO LEEの3名によるタイル作品。

③ポートフォリオタイル

これまでTCTが手掛けてきたカスタムタイル。

④セミオーダータイル

39種類の形状、3種類の面状、100種類の色から組み合わせを選択できるタイル。

⑤サンプルタイル

常時在庫品のタイル

 

そこに

⑥会議室

⑦ミニキッチン

⑧トイレ

が付随される。

 

これらを機能的に組み立てていくとすれば、

・①はミュージアムショップとして行き帰りに通る場所に

・②はとても大きいので倉庫のボリュームを目一杯使った広い空間に

・③と④と⑤は商談に使いやすいようにまとめておいて、⑤と隣接させる

・⑦と⑧は排水経路の都合上、前面道路側にまとめる

というふうにまとめることができる。

 

そこからさらに、

・②の全景が落ち着いて観れる場所がないので、②と⑤を向かい合わせにしてガラスで仕切り、庭を鑑賞するようにタイル作品を眺められる会議室にする

・⑥も②と隣接させてタイルの庭で食事が取れるような関係にする

 

そうすることでタイルの作品群を庭の景観要素に見立て、全体を回遊式庭園のような動線として整理した。

大きな引き戸をガラガラと開けるとたくさんのタイルや製作機材が並んでいる。

それらを横目に無骨な階段を登っていく。

登り切ると急に真っ白な空間と出会う。

白い扉を開けると少し膨らんだスペースに小さなタイルたちが並んでいる。

奥の明るい空間に導かれるように少し細くなった通路を抜けると一気に広いスペースに出る。

そこには様々なタイルを使った大きな作品たちが並んでいる。

作品たちの間を散策するように鑑賞する。

さらに奥に壁面に小さなタイルがたくさん並んでいる。

それらのタイルを見ながらTCTが扱うタイルについての説明を受ける。

TCTの知識を蓄え、会議室に入る。

さっき近くで見たタイル作品たちを一望する。縁側から庭を眺めているような感覚に陥る。

打ち合わせ。

入った時とは別の扉から会議室を出ると最初にあった小さなタイルたちが並んだスペースに戻る。

気に入ったタイルがあったので記念に買って帰る。

photo / Kenta Hasegawa 

The site is situated in Tajimi, Gifu Prefecture, home to many of Japan's top tile makers. The clients, Tajimi tiles, plans to convert part of its warehouse into a gallery.


The company handles the “TAJIMI CUSTOM TILES (TCT)” series, which responds to a wide range of requests, from original designs to customization of ready-made products, complex shapes, and subtle color adjustments.


The concept of TCT is to “faithfully realize tiles that architects and interior designers seek through meticulous dialogue, similar to the ‘bespoke’ sense of making tailor-made clothes.


“Bespoke” means “to modify or make new items from an existing base in accordance with the buyer's order, taste, or purpose of use”. In that sense,  the change of the warehouse into a gallery can also be considered bespoke.


The gallery has to display different programs : a tile kiosk ( an actual web store);  a collaboration tiles corner (works by Ronan Bouroullec, Max Lamb and Kwangho Lee); Portfolio tiles (custom tiles that TCT has worked on so far); Semi-order tiles corner ( a selection of 39 different shapes, 3 different surfaces textures and 100 different colors); sample tiles corner (tiles that are always on stock). 

 

In addition to this core program, the gallery houses a meeting room, a mini kitchen as well as a restroom. 

2024.05
所在地 : 岐阜県多治見市
用途 : ギャラリー
構造 : 鉄骨造
施工:株式会社 吉川組