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結婚指輪の価値について考えてみました。

 

一般的な結婚指輪の価値は、単に形の美しさや、貴金属の素材、宝石の配置、ブランド力など主観的な価値観によるところが大きいように思います。

しかし、結婚という行為にとって最も重要で絶対的な価値は「結婚相手」であるように、結婚指輪にとって最も重要で絶対的な価値は「結婚相手を身近に感じること」にあるのではないでしょうか。

そこで「夫婦である事」の価値を見直す、新しい結婚指輪の価値をデザインしました。

 

まず左手薬指の断面を型どります。すると新郎と新婦で微妙に形状の異なる2つのゆがんだ楕円が出来上がります。その形は世界に1つだけのものであり、お互いの存在を示すものです。トレースされたパートナーの薬指の輪郭は、自分の指輪の輪郭となり、自分の薬指の輪郭は、パートナーの指輪の輪郭となります。つまり、お互いの薬指の輪郭がお互いの指輪のデザインを決定づけ、お互いの薬指の輪郭がお互いの薬指を覆う関係となる結婚指輪です。

この小さな指輪そのものが、相手の存在を象徴し、その指輪を自分の指に重ねるという行為が結婚の意味と価値を同時に表しています。

 

お互いの薬指の輪郭をより強調するため、なるべく半径方向に高く、見付の厚みを抑えたデザインにしました。一般的な指輪の製法である「鋳造」ではなく、より高い強度を与える事ができる「鍛造」を採用し、厚さ1.2mmの極薄の指輪を実現しています。

また指輪の側面は、鍛造職人が叩いた手仕事の跡をそのまま残し、時々触れてみたくなるような、あえて荒々しい表情としています。

 

見たり、触れたりするたびに結婚相手の事を思い出すきっかけを与えてくれる「相手を想う時間のデザイン」が、結婚指輪に新しい価値とストーリーを与えてくれることを期待しました。

2016.07