公園と畑の家

公園と畑に挟まれた平家の改修です。

 

この家で考えたことは、ローコストであることと贅沢であることは必ずしも矛盾しないという事です。

「贅沢」であることと「高額」であることは似ているようで少し違うのです。

 

例えば、「三階建ての狭小住宅」と「庭付きの平家」では後者の方が贅沢に感じますが、都心から少し離れた中古住宅であればかなり安くで手に入りますし、縦に長い建物よりも平屋の方が耐震性の面でも優れています。

 

同じことを仕上げに関して考えてみると、建売住宅はとてもローコストですが、仕上げは「厚化粧で均一」な場合が多く、これは構造体や下地の精度を隠すために「厚化粧」にして、クレームが少なく管理しやすく、さらに大量生産が可能なため「均一」な素材を使っているのです。

しかし、薄化粧の方が材料が少なくて済みますし、不均一な材料の方が一般的には安く手に入ります。

「薄化粧で多様」な仕上げの方が「安くて贅沢」と捉える事ができるのではないでしょうか。

 

この住宅で用いた木材は、床や壁だけではなく、家具や建具、障子の桟に至るまで全てベニア板に使われるラワンという安価な木材を使用し、木目のラフさをそのまま活かしています。

リビングの壁と天井は左官仕上げの「下塗り材」で使用される材料をそのまま仕上げとして使用しました。

LDの間仕切を撤去した結果、二本だけ表れる独立柱には木目を残すように鉄骨用の錆止材をうっすらと塗りました。

 

こうした不均一で不調和な仕上げを空間のノイズとして捉え、既存部分が持つノイズと寄り添わせるように全体をチューニングするイメージで住宅全体を設計しています。

空家の多くはアノニマス(作者不明)な建物ですが、新たに手を加える者である設計者(僕)は、既存空間が持つ要素や形式、積み重ねられてきた時間を尊重し、自身のエッジを際立たせない謙虚さを持つように心掛けています。

 

自分とは異なる文脈を受け入れ、過去を対象化せず、相対的に扱わないことで、新しさと古さの対立を乗り越えた建築をつくりたいと常々思っていて、新築部分の漂白感が際立たないように、既存部分の異物感が漂わないようにする事が改修設計の重要な作法であると考えています。

 

この住宅は「欄間ガラス付建具」という形式を元から持っていたので、その形式を全体に展開させ、機能ごとに分節された各部屋が欄間を通して繋がり、建物全体がワンルームに感じられるような広がりを持つ住宅を目指しました。

 

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そして最後に、実はこの家は僕の自宅兼事務所ですので、いつでも見学可能です。

また、撮影スタジオ等のご利用も可能です。

ご希望の方はcontactページよりお問い合わせください。

2017.08
所在地 :大阪府河内長野市
用途 :住宅+事務所
構造 :木造
敷地面積 :155m2
延床面積 :  96.35m2